こんにちは!
トレイルランニングの世界に足を踏み入れると、多くのランナーが手に持っている「ポール」や「ストック」を目にする機会が増えるでしょう。特に、長い距離のレースや高低差の激しい山岳コースでは、もはや欠かせないアイテムとなりつつあります。
しかし、「ただ持てばいいんでしょ?」と安易に考えていると、その効果を最大限に引き出せないだけでなく、かえって体力を消耗したり、思わぬ怪我につながったりすることもあります。ポールやストックは、使い方をマスターしてこそ、あなたのトレイルランニングを強力にサポートしてくれる頼もしい相棒になるのです。
今回は、トレイルランナーにとってなぜポール・ストックが重要なのか、そして正しい使い方や練習方法、注意点について、僕自身の経験も交えながらじっくりお話ししたいと思います。

ポール・ストックがトレイルランナーの必須アイテムである理由
トレイルランニングの大会では、ポールやストックの使用が許可されているレースが多くあります。これは、ポールがランナーの安全を確保し、パフォーマンスを向上させる上で非常に役立つからです。
1. 登りでの推進力アップ
ポールを使う最大のメリットの一つは、急峻な上り坂で推進力を得ることができる点です。腕の力を使って体を押し上げることで、脚への負担を軽減し、効率的に登ることができます。これにより、登りでの体力の消耗を抑え、レース後半にエネルギーを残すことができます。
2. 下りでの安定性確保
下り坂では、ポールはバランスを保つための重要な役割を果たします。不安定な路面や急な斜面でも、ポールを地面につくことで三点支持や四点支持となり、転倒のリスクを大幅に減らすことができます。また、関節への衝撃を和らげるクッションの役割も担います。
3. 全身運動の効果を高める
ポールを積極的に使うことで、腕や肩、背中といった上半身の筋肉も同時に使うことになります。これにより、下半身だけに頼りがちなトレイルランニングを全身運動に変えることができ、筋持久力の向上にもつながります。
意外と知らない!ポール・ストックの正しい使い方
ポールやストックの使い方は、登り、下り、平地でそれぞれ異なります。誤った使い方をしてしまうと、かえって逆効果になることもあるので、正しいテクニックを身につけることが大切です。
登りでの使い方:推進力を生み出す
上り坂でポールを使う際は、体の後ろ側でつくことを意識しましょう。
- NGな使い方:体を前に倒して、体の前側にポールを突いてしまうと、一歩ごとにブレーキをかけてしまうことになり、せっかくの推進力を殺してしまいます。これは、両足で踏ん張っている状態と同じで、効率的ではありません。
- OKな使い方:ポールを体の真下、もしくは体よりも少し後ろ側につきます。そして、肩甲骨から腕を大きく動かし、ポールを押すようにして体を前に押し出します。これにより、脚の力と腕の力を連動させ、効率的な推進力を得ることができます。
下りでの使い方:バランスと衝撃吸収
下り坂では、体の前側でつくことが有効です。
- バランスを取る:ポールを体の前に突くことで、まるで杖をついているかのようにバランスを保つことができます。これにより、不安定な路面でも安心して下ることができます。
- 衝撃を和らげる:ポールをクッションとして使うことで、膝や大腿四頭筋に集中する衝撃を分散させることができます。これにより、下りでの筋力消耗を抑えることができます。
- 前のめりを防ぐ:ポールを前に突くことで、体が前のめりになりすぎるのを防ぎ、正しい姿勢を保つことができます。
平地での使い方:リズムとバランス
平地や緩やかな下りでは、ポールをあまり使わないことも多いですが、使う場合は歩くリズムに合わせて体の後ろ側で軽く突くようにします。これにより、腕振りのリズムが安定し、バランスを保つことができます。
ポール・ストックを使わない時のトレーニング
ポールやストックは、常に手に持って使うわけではありません。トレイルの状況に合わせて、収納したり取り出したりすることも多々あります。
使わないときは、トレイルランニングザックの後方や腰にアタッチメントを使って取り付けて走ります。
この状態で走ると、ポールの重みや揺れでバランスを崩したり、走りにくさを感じたりすることがあります。したがって、日頃のトレーニング中にポールをザックに収納した状態で走る練習をしておくことが重要です。これにより、レース本番でもスムーズなポールの出し入れや、安定した走りを維持することができます。
ポール・ストックを使う際の注意点
ポールはあなたの強力な味方ですが、使い方を誤ると危険な道具にもなります。安全に使うために、以下の点に注意しましょう。
1. 保護キャップをつけよう
ポールは先端が尖っているため、使わない時や運搬する際は必ず保護キャップをつけましょう。これにより、自分や周りの人を傷つけるリスクを減らすことができます。
2. 周囲に気をつけよう
特に、ポールを振り回したり、後ろ向きに突いたりする際は、周囲に他のランナーや登山者がいないかを常に確認しましょう。狭いトレイルや混雑した場所では、ポールが周りの人にぶつかる可能性があります。
3. 慣れないうちはゆっくりと
ポールを初めて使う際は、いきなりスピードを出すのではなく、まずはウォーキングや緩やかなペースから始めましょう。正しい使い方を身につけることが何よりも大切です。
まとめ:ポール・ストックは「使いこなして」こそ
今回は、トレイルランニングにおけるポール・ストックの重要性と、正しい使い方についてお話ししました。
- ポールは、登りの推進力、下りの安定性、全身運動の効果を高めてくれる
- 登りでは体の後ろ、下りでは体の前で突くのが基本
- 使わない時の収納方法も練習しておくことが重要
- 保護キャップや周囲への配慮など、安全に注意して使う
ポールは、あなたのトレイルランニングを飛躍的にレベルアップさせてくれる可能性を秘めています。ぜひ、日々の練習でポールを使いこなし、トレイルでのパフォーマンスを向上させてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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