こんにちは!
これまでの記事で、ウォーキングやジョギング、そして階段トレーニングといった、身近な場所でできる練習方法についてお話ししてきました。もちろん、これらのトレーニングも非常に重要ですが、やはりトレイルランニングのパフォーマンスを最大限に引き上げるためには、実際に山で練習することに勝るものはありません。
今回は、なぜ山でのトレーニングが最も効果的なのか、そして山でしかできない具体的な練習方法について、じっくりお話ししたいと思います。

なぜ山でのトレーニングが一番なのか?
山でのトレーニングが最も優れている理由は、レースや大会の本番に一番近い環境で練習できるからです。
アスファルトの上を走るロードランニングと違い、トレイルランニングは路面の状況が一定ではありません。岩や木の根、不規則な段差、急な上り下りなど、刻々と変化する路面に対応しながら走り続ける必要があります。
山でのトレーニングは、そうした実際のトレイル環境を体感しながら練習できる唯一の方法です。これにより、普段の練習では得られない、以下のようなメリットを享受することができます。
1. バランス感覚と足腰の強化
トレイルでは、足を置く場所を瞬時に判断し、バランスを取りながら進む必要があります。アスファルトのような平らな道とは違い、常に足首や膝、体幹を使いながら走るため、バランス感覚と足腰の安定性が自然と鍛えられます。不安定な路面を走り続けることで、怪我の予防にもつながる体づくりができます。
2. 適切な体の動かし方を習得できる
山には、上り坂も下り坂もあります。トレイルランニングでは、これらの状況に応じて体の動かし方を変える必要があります。
- 上り:急な坂道では、無理に走るよりも、膝に手を当てて歩く「パワーウォーク」が効果的です。この動きは、お尻の筋肉(大臀筋)や太ももの裏側(ハムストリング)を使い、効率的に登るための重要なテクニックです。
- 下り:下り坂では、体を少し前傾させ、小刻みに足を動かすことで、衝撃を和らげながらスピードに乗ることができます。この動きは、太ももの前側(大腿四頭筋)に大きな負荷がかかるため、下りでの衝撃に耐えられる筋力を鍛えることができます。
これらの適切な体の動かし方は、実際に山で繰り返し練習することでしか習得できません。
3. 心肺機能の向上
山でのトレーニングは、平地を走るよりも心拍数が格段に上がります。登り坂では、まるでインターバルトレーニングのように心肺に高い負荷がかかります。下り坂では、登りで上がった心拍数を少し落ち着かせながらも、集中力を保って走り続ける必要があります。こうしたアップダウンを繰り返すことで、平地でのトレーニングでは得られない、トレイルランニングに特化した心肺機能を鍛え抜くことができます。
ポール(ストック)を活用したトレーニング
山でのトレーニングのもう一つの魅力は、ポール(ストック)を使った練習ができることです。
トレイルランニングのレースでは、急峻な上り坂や下り坂、そして長時間のレースにおいて、ポールはランナーを強力にサポートしてくれる頼もしい相棒となります。
ポールのメリット
- 登りの推進力:ポールを地面に突くことで、腕や上半身の力を使って体を押し上げることができ、脚への負担を軽減しながら効率的に登ることができます。
- 下りの安定性:下り坂でポールを使うことで、バランスを保ち、転倒のリスクを減らすことができます。また、関節への衝撃を和らげる役割も果たします。
- 全身運動の効果:ポールを使うことで、上半身の筋肉も積極的に使うことができるため、全身の筋持久力向上につながります。
ポールを使ったトレーニング方法
ポールは、ただ持っているだけでは意味がありません。正しい使い方を身につけるための練習が必要です。
- 平地でのウォーキング:まずは、平地でポールを使ったウォーキングから始めましょう。ポールを突くタイミングや、腕の振り方、ポールの長さを体に合わせる感覚を掴みます。
- 上りでの練習:急な上り坂で、ポールを地面に突き、体を引き上げる練習をします。腕の力を使って、脚への負担をどれだけ減らせるかを意識してみましょう。
- 下りでの練習:下り坂でポールを突きながら進む練習をします。バランスを取りながら、スムーズに下りる感覚を掴むことが大切です。
山でのトレーニングを始める際の注意点
山でのトレーニングは、アスファルトの上を走るのとは異なり、いくつか注意すべき点があります。
1. 装備を万全に
トレイルランニング用のシューズはもちろんのこと、水分や補給食、応急処置キット、スマートフォン、防寒着など、万が一に備えた装備を準備しましょう。また、日差しが強い日には帽子やサングラス、日焼け止めも忘れずに。
2. 慣れた山から始める
最初から険しい山に挑戦するのではなく、まずはハイキングコースとしても整備されているような、比較的走りやすい山から始めましょう。高尾山や六甲山など、多くのトレイルランナーが訪れる山は、初心者にもおすすめです。
3. 疲れたら無理をしない
山でのトレーニングは、想像以上に体力を消耗します。疲労を感じたら無理に走り続けず、休憩を挟んだり、歩いたりして、自分の体と相談しながら進みましょう。怪我をしてしまっては元も子もありません。
4. 登山者に配慮する
トレイルは、トレイルランナーだけでなく、ハイキングを楽しむ登山者もいます。すれ違う際には挨拶をしたり、追い越す際には声をかけたりするなど、マナーを守って気持ちよく山を楽しみましょう。
まとめ:山こそが最高のトレーニングジム
今回は、トレイルランニングのトレーニングとしての山での練習についてお話ししました。
- 山でのトレーニングは、レース本番に最も即した練習ができる
- 不安定な路面に対応するバランス感覚や、適切な体の動かし方が身につく
- ポールを使ったトレーニングで、全身を効率的に鍛えられる
- 安全に配慮し、装備やマナーを守って山を楽しもう
山は、トレイルランナーにとって最高のトレーニングジムです。ぜひ、日々の練習に山でのトレーニングを取り入れて、トレイルランニングの世界を存分に楽しんでください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
コメント